筆者が主催する講座の受講者の中で特に成功している社労士を分析した結果から、「助成金ビジネス」で成功できるチェックポイントをまとめました。
(1) 25のチェックポイント
まず、次のリストに3分間以内に、直感であてはまる設問にチェックを入れてみてください。
もちろん、設問のすべての業務を自分でやる必要はありません。実際、筆者は電子申請の手続きをできませんし、給与計算ソフトを使うこともできません。これらをできる社員を雇用しているので、筆者自身ができなくても業務は回ります。
したがって、自分ができない業務はできる人を採用するか、できる人と提携すれば解決します。何でも自分でやろうとすると行き詰ってしまいます。

(2)「助成金ビジネス」で成功する可能性ランク
チェックを入れた合計の数により、成功の可能性をS~Fの5つにランク設定しました。
チェックの合計数に応じた現在の状況は以下のとおりです。あくまでも目安ですし、現時点でFランクだとしても意識すればチェックの数は増えますから安心してください。

(3)設問解説
チェックポイントの各項目について解説していきます。
①社労士業務の手続きを電子申請で処理できる
社労士業務の手続きを電子申請で処理できないということは、数年のうちに実質的に社労士の1号業務ができないことになります。助成金申請も電子申請に移行していきますので、電子申請ができる体制作りは必須です。
②未払い残業トラブルについてアドバイスできる
すぐに助成金申請ができないケースの多くは、未払い残業代がある会社です。未払い残業代対策についてアドバイスできることは必要です。もちろん法令遵守をした上で可能なアドバイスをします。
③自宅とは別の場所に社労士業務の専用事務所がある
自宅事務所から専用事務所にすると紹介案件が増えます。信頼性が高くなるからです。正社員やパートタイマーの雇用を考えるなら専用事務所は必須です。自宅事務所で求人を出しても応募する方はほとんどないと考えましょう。
④アドバイスされたことを忠実にそのまま実行できる
自分の指導者(メンター)や業界の成功者などからアドバイスされたことを忠実に再現できると成果が出ます。逆に自己流にアレンジしてしまうと失敗します。
⑤給与計算ソフトを使うことができる
給与計算ソフトを使って給与計算ができると、顧問契約の受注率が確実にアップします。毎月、時間を取られる給与計算業務を外注に出したいと考えている社長は多いからです。
会社にとって給与計算業務は間違えてはいけないし、専門知識もいる難しい重要な業務なのに、直接本業の売上アップにはつながりません。このように重要でありながら本業の売上アップには関係ない業務について提案をすると受注できる可能性が高いです。
⑥頭の中で結論を出さず、実行して結論を出している
実行する前に頭の中だけで結論を出してはうまくいきません。まず行動してやりながら修正していきます。
つまり、結果を予想して仮説を立て、それを実行し検証します。「検証結果から修正して、再度、実行する」この繰返しをしていきます。
成功しても失敗しても、なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを検証しないと同じ失敗を繰り返すことになりますし、成功するチャンスを就業規則や育児介護休業規程などが作成できないと助成金ビジネスはできません。就業規則のひな形を活用して、作成できることは必須す。メールは1日に1回、決めた時間しかチェックしないという方も逃す可能性があります。まずは実行ということです。
⑦就業規則、その他の諸規程を作成できる
です。働き方改革で就業規則のニーズは高まっていますので、売上アップに貢献します。
⑧どちらかというと、食事は他の人より早く食べ終わる
食事を早く食べる方は仕事をやっても動きが迅速です。逆に食べるのが遅い方は周囲のペースにあわせず、自分のペースで動く傾向が強く、仕事をやっても遅く空気が読めないタイプが多いです。
⑨助成金(1種類以上)の提案と書類作成ができる
助成金は1つ知っていれば十分です。もちろん、助成金の種類をたくさん知っているほうがよいですが、1つの助成金だけで助成金ビジネスはできます。
助成金を一度にたくさん提案すれば売上が伸びるということはありません。助成金を提案される顧客の方が複数の助成金を説明されても理解できないことが多いからです。実際に助成金を提案していると1つに絞り込みをしたほうが売れます。
⑩ メールを受信してから遅くても3時間以内に返信している
顧客との信頼関係を強くするにはクイックレスポンスが求められます。メールは1日に1回、決めた時間しかチェックしないという方もいますが、これでは売上は伸びません。少なくともメールを受信したら3時間以内に返信することが必要です。
スピードある対応ができることが成功の最重要のポイントです。
⑪自己都合退職と会社都合の退職についてアドバイスができる
「会社都合の退職」があると申請できない助成金があります。したがって、「自己都合退職」と「会社都合退職」のアドバイスができないと助成金ビジネスはできません。
助成金ビジネスで「会社都合退職」について顧客に正確に説明できないと、後日、トラブルの元になる可能性があります。
⑫30%程度の理解度でも、それなりに顧客に説明できる
多くの社労士の方は 100%自分が理解しないと顧客に説明しようとしません。30%程度の理解度でも顧客に早く情報の概要を伝えることが必要です。もし間違った説明をしたことがわかったら、すぐに訂正すればよいだけです。特に助成金は頻繁に内容が変更されるので、100%理解した頃には助成金は廃止になっています。
⑬名刺に顔写真が入っている
顧客を増やすためには名刺に顔写真が入っていることが必須です。
顔写真がないと名刺を渡した相手に自分の印象が残らないからです。
筆者は、社労士と名刺交換をする機会が多いですが、写真付きの名刺を使っている社労士は5%ぐらいしかいません。つまり、写真付きの名刺を使うだけで簡単に差別化できるということです。顔写真を入れる程度であれば名刺の印刷費は高くありませんので、もし名刺に顔写真がなければ入れることをお勧めします。
⑭顧問契約、スポット業務の料金表を作成している
料金表の作成は必須です。
費用がわからないと顧客は不安で料金を聞いてきません。顧問料、スポット業務の費用を明確にしておくことで顧客は安心します。結果的に成約率は高まります。
⑮わからないことは目下の人にも質問できる
わからないことがあれば、恥も外聞もなく質問する習慣があると知識は増えます。目下の人に質問するのは恥ずかしいと考えているようでしたら、向上しません。
⑯他人の悪口を言わない
他人の悪口をいつも言っている方は、うまくいかないと責任を他人に転嫁する傾向があります。思っても口に出すことは絶対にしないことです。
⑰話をするのはあまりうまくない
話をするのがうまい方は、自分の話に酔ってしまって顧客の話を聞かない傾向があります。
したがって、話があまりうまくない方のほうが売上は伸びます。もちろん、話がうまくて顧客の話を聞ければ最高ですが、どうしても話過ぎになり失敗することが多いです。
⑱服装など身だしなみに気を使っている
服装には気を使ってもらいたいです。
顧客獲得では第一印象が重要です。貧相な感じを与えると、その段階で終わりです。ブランド物の服装をするという意味ではなく地味な色合いで清潔感がある服装が無難です。
⑲目標数字や達成期限を紙に書いて明確にしている
目標を立てるときに、少なくとも数値目標と達成期限は必須です。
目標を明確にしない方は、できなかったときに恥ずかしいと考えがちです。ただ、数値目標と達成期限がない会社が伸びることはないと言い切って間違いありません。
数値目標と達成期限を明確にした経営計画を立てることは必須です。
⑳勤怠管理の方法をアドバイスができる
助成金ビジネスでは、勤怠の客観的把握義務を説明することが必要です。つまり、顧客に対してどういう勤怠管理をすればよいのか提案できる知識が必要です。
㉑自分の事務所と他の社労士事務所との違いを説明できる
「自分の事務所の特長はなんですか?」と質問をすると回答できない方が多いです。
自分の事務所をアピールする際に、他の事務所とはここが違うということを説明できる必要があります。それができないと価格だけの違いしかアピールできませんが、明確にできれば費用は高くても受注できるようになります。
㉒ハローワークの求人票作成のアドバイスができる
採用で悩む社長が多いので、無料で求人を出せるハローワークの求人票作成のアドバイスができることは他の社労士との差別化につながります。採用ができれば、採用に関する助成金を申請できる可能性が高まります。
㉓待ち合わせ場所に約束した時刻の10分前に常に到着している
時間に正確ということは必須です。
当たり前と思われがちですが、時間にいい加減な方が多いです。時間や期限を守れないと次は依頼がなくなると思って仕事をする必要があります。
㉔エクセルやワードで文章を作成することができる
いまさらですが、エクセルやワードで文章の作成ができることが必要です。また、出生時両立支援コースでは厚生労働省がパワーポイントで資料を作成しているので、パワーポイントの取扱いもできるほうがよいです。パワーポイントは提案書やセミナーの資料作成にも役立ちます。
㉕働き方改革関連法から社労士業務につなげる提案ができる
「働き方改革関連法」は社労士にとって追い風です。この追い風に乗るためには「働き方改革関連法」から社労士業務につなげる提案ができる必要があります。
