(1)「戦略」と「戦術」とは?
多くの社労士は「戦略」と「戦術」について意識したことがないと思います。
まず、「戦略」と「戦術」の違いについて、いろいろな解釈がある
と思いますが、筆者の定義では、「戦略」は「構想」、「戦術」は「手段」です。
例えば、売上を増やすために「業種特化」して「建設業」にだけ提案するというのは「戦略」です。「建設業」に提案するために具体的に何をするかを考えて「セミナー開催」で建設業にアプローチするというのは「戦術」です。
もし、「建設業」に絞ることが正しい「戦略」であれば、「セミナー開催」という「戦術」がうまくいかなくても「戦術」を「資料請求」に変更して挽回できる可能性があります。逆に「戦略」を間違えたら「戦術」で挽回することはできません。そもそも方向性が間違えているからです。
そして、「助成金ビジネス」に特化するというのは「戦略」です。
(2)急成長した社労士事務所
筆者だけでなく開業して5年以内で従業員数を 10 名以上に急成長
した社労士事務所はすべて「助成金ビジネス」を積極的に提案してい
ます。
したがって、「助成金ビジネス」をメイン業務にすることは正しい「戦略」です。「助成金ビジネス」がうまくいかないと助成金をやっても良くないと決めつける方がいます。「戦略」が正しくても「戦術」を間違えるとうまくいきませんが、そのときは「戦術」を変更すればよいだけで「戦術」の修正は難しくありません。
ところが、「戦術」の誤りに気がつかずに「助成金ビジネス」をしなくなる方が多いです。もったいないですね。
「助成金ビジネス」で損をすることはありません。顧客側も助成金が申請できる労務管理ができているなら労働法上でも問題がない会社になっています。つまり、労働基準監督署が検査に来てもまったく問題のない状況になっているということです。
「助成金ビジネス」の副産物は大きいです。もし「助成金ビジネス」がうまく契約に結びつかないときは「戦術」を見直してください。ところで、昨年度の後半、毎月勤労統計の調査ミスの記事がマスコミを賑わせていました。こういうときにがっくりすることがあります。
それは、今回の件でいうと「調査ミス関連でアルバイトの仕事が役所から社労士に入るのではないか」ということをSNS に投稿している社労士がいることです。こんな下請け仕事が出ることを期待しないで自分で仕事を取ってきてほしいです。
