(4) 事業化スケジュール
事業計画書には、対象事業の補助対象となる事業期間だけでなく、その後の事業化段階も含めたスケジュールも記載する。技術開発から試作品開発が対象事業の場合には、特に事業化まで時間がかかる場合も考えられるので、その後の事業化準備段階のスケジュール化も必要だ。
製品の発売、サービスの提供開始まで行けばとりあえず事業化に達する。
ただし、ビジネスとして成り立ち、その後も継続的に収益を上げられなければ、最終的な目的は達成できない。
スケジュールは試作品完成や製品発売などの予定年月を示す方法と、初年度、2年目など年度ごとにどこまで発展、展開させるのかを示す方法がある。
製品発売時期など販売計画や損益計画と矛盾しないように整合性をとって記載する。
(5) 事業化へのリスクと対応策
事業計画書において必須ではないが、事業化にあたって想定されるリスクとその対応策を記載してあれば有効だ。
技術開発によって新市場を開拓する事業の場合、自社の技術だけでは量産品開発までに時間がかかりすぎたり、大手企業が参入してきたりするなどのリスクがあるかもしれない。そのようなリスクをあらかじめ想定し、他のパートナー企業から技術面の協力を得たり、特許権などの知的所有権を確保したりするなどの対応策を考えておくことが求められる。
補助金対象事業のような新規事業にはリスクがつきものである。その点も想定したうえで対策も計画されていれば、審査上もプラスに評価されやすいといえる。
(6)事業化による政策面の効果
① 地域経済と雇用支援効果
ものづくり補助金は国の中小企業政策の一環で行われるものである。そのため、他企業のモデルになる取組みであるとともに、賃金上昇、地域経済と雇用の支援に繋がる計画かどうか、という点も審査項目に挙げられている。
この点は事業計画全体に織り込まれ、事業計画の数値に表れているはずであるが、下記のような補助事業の事業化による効果が示せる場合はできるだけ具体的に記載する。
・事業実施地域での工場、 店舗などの事業所の拡大
・対象事業による地元地域の事業者への新規発注 (仕入、外注など)
・対象事業による地元での新規雇用増加、 事業化効果による賃金水準上昇
② 環境への配慮
公募要領にある審査項目の政策面の1つに、「バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画となっているか」とある。
対象事業で新たに開発される製品サービスや生産プロセス改善に、環境への負荷低減に繋がる要素が少しでもあれば、できるだけ具体的に記載したい。
環境負荷の低減とは、 例えば、省エネ・省電力、リサイクル・リユース、廃棄物削減、再生可能エネルギー活用、自然環境保護・再生、二酸化炭素排出削減などである。
【環境配慮の要素がある事業計画の例】
① 廃棄物を 90%削減する廃液ろ過リサイクル装置の試作開発
② 二酸化炭素排出量を 50%削減する省エネ·節電技術の活用
③ 食品廃棄物と廃棄プラスチックの自動分別装置の開発
④ 海洋プラスチックごみの回収リサイクルシステムの開発
⑤ 包装資材のリユースを前提とした梱包運送サービスの開発
⑥ 再生可能エネルギーを利用した環境負荷低減型の製造プロセス導入
⑦ 節水に有効な自社技術を活用した排水再生処理設備の導入