支援内容を応募申請だけに限定する場合以外は、ものづくり補助金採択後も、補助金請求・交付までは手続き面を中心に支援対象になる。
さらに、認定支援機関には本来の目的である事業化段階での成功へ向けた支援も期待されている。少なくとも、利用できる販路開拓支援制度の紹介や、金融機関であれば資金需要へ対応する新規与信支援などは最低限検討したい。
≪採択発表から交付までの支援策≫
(1)採択発表時の対応
採択結果の発表は公募締切後1か月余りで行われる。発表日は事前に公開されず、当日に補助金事務局のホームページに採択一覧が掲示される。郵送による採否の通知も合わせて行われるが、支援者としてもいち早く採択結果を確認したい。
残念ながら採択されなかった場合にどう対応するかは、あらかじめ事業者と打ち合せておくのが良い。次の締切で再チャレンジするのか、補助金なしで事業をすすめるのか、あるいは事業そのものを断念するかのいずれかになる。
初めての応募申請で不採択の場合、不採択時点で既に次回締切へ向けた公募が開始されているので、同様の内容で再申請することを勧めたい。同じ事業でもさらに計画のブラッシュアップを図ることで、採択される可能性はある。
(2)交付申請から交付決定
採択された場合、次の手続きとして遅くとも1~2か月以内に交付申請が必要である。採択者向けの事務説明会があり、採択者向け手引きが公開され。採択発表後の手続さもやや煩雑で手間はかかるが、手後きは事業者自身でも可能である。
採択者向け手引きで不明な点は、事務局に間い合わせることで、ていねいに数えてもらえるので、その通りに行えば良い。
ただし、事業者側で手続きも含めて依頼がある場合なと、引受け時の条件に応じて、手続き書類作成などの支援を行う。支援者側としても直接手伝うことはなくとも、事業者が確実に手続きを行って交付決定を受けられるようフォローする。交付決定日が遅くなると、その分事業開始が遅れるので、期限に関係なく、手続きを進めるのが得策である。
(3)事業期間中から交付請求までの支援
事業期間内に機械装置の導入などの事業を確実に実行し、対象経費支払いまで完了する必要がある。その間に多くの証拠書類等を整備し、期限内に煩雑な請求手続きを行う必要がある。
支援者としても、成果報酬の2分の1を補助金受領後に受け取る契約などの場合、確実に補助金交付を受けられるよう交付請求までのフォローが不可欠だ。
導入する機種や金額の変更(採択金額の増額は不可)など、細部の変更については、事務局と協議のうえ、変更届けの提出が必要だ。漏れた場合は補助金交付が受けられなくなる場合もあり、軽微な変更についても注意を要する。
また、特に機械装置の導入には見積書、仕様書、発注書や領収書などが必要であるなど対象経費の証拠書類について細かい規定があるので、事務の手引きを熟読して漏れがないよう整理することが必要だ。
≪補助金交付後の支援策≫
(1)報告書作成の支援
補助金が無事入金されたことを確認できれば、とりあえずの支援は完了となる。ただし、補助事業者にはその後5年間、毎年度ごとに「事業化状況・知的財産権等報告書」の提出義務がある。
報告書では、補助対象事業とそれ以外の事業の実績について、収益と費用を全て区別して計上する必要があるなど、作成はかなり煩雑だ。そこで、報告書作成も継続的な支援対象になる。
また、補助金対象となった設備などの資産は、使用しなくなったとしても勝手に売却や廃棄などの処分をすることはできない。このような点は事業者が管理することだが、継続的支援先に対して必要に応じてアドバイスできるように把握しておきたい。
(2)対象事業の事業化支援
さらに、ものづくり補助金支援先の事業者が顧問先や取引先の場合には、補助金交付後もフォローすることで一歩踏み込んだ支援の役割が果たせる。
税理士の場合、顧問先であれば、財務面を中心に経営アドバイスなど継続的な成長支援が可能である。
金磁機関の場合は事業化に伴う前向きな資金需要に応えるなど、本質的な役割である成長資金融資へ繋げることができる。さらに、補助対象事業の課題である販路拡大、売上拡大へ向けた取引先のマッチングや交流会、展示会などのイベントへ招待するなど金融機関としての総合的な支換策が提供できる。