IT導入補助金とは、中小企業のIT導入を金銭的に支援してくれ、業務効率化・生産性向上をサポートしてくれる補助金です。
他の補助金と同様、審査があります。審査に合格し、事業完了後に報告を行うことで、事後的に経費の一部が支給される制度となっています。
特徴としては、「既存のシステムを購入する」という点が挙げられます。
つまり、オーダーメイドのシステムを開発するのではなく、一般的に販売されているでき上がったシステムを導入するということになります。
「登録されたIT事業者」の「登録されたITツール」 のみが対象
IT導入補助金は、登録された事業者(IT登録支援事業者)が扱う、登録されたITツールのみが補助対象となります。
つまり、「どんなITシステムでも補助金の対象となるわけではない」ということです。
ですので、もしご自身が欲しいITシステムがツール登録されていなければ、補助金はもらえないということになります。
有名なシステムは大概ツール登録されていますが、専門的なシステムは登録されていない場合があります。
そういった場合は、ご自身が必要なシステムを販売している会社に「IT導入支援事業者」としての登録をしてもらい、更にそのシステムを「ITツール登録」してもらう必要があります。
なお、この「IT支援事業者登録」「ITツール登録」には締切期限がありますので、早めにシステム会社さんと調整されることをおすすめします。
IT導入支援事業者と共同で申請する仕組み
IT導入補助金は、仕組み上、事前に事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同でなければ申請できない補助金となります。 この「IT導入支援事業者」というのは、補助金で購入したいITツールの提供者です。
つまり、国としては、ITシステム会社に対し、「補助金を出すんだから申請事務も手伝ってね」といった設計にしているということです。
ただシステム会社はITのプロであっても、補助金のプロではありません。
そのため、行政書士等の専門家に実質的サポートを依頼するケースは多いです。
IT導入支援事業者も、専門家に依頼すれば採択率が上がると見込んでいるためでもあります。
補助額が類型ごとに違う
2022年のIT導入補助金では申請区分が「通常枠」と「デジタル化基盤導入枠」に分かれています。ちなみに、類型は年によって変わるので、必ず最新の公募要領をご確認ください。
【通常枠】
A類型:申請額、30万円以上~150万円未満(補助率1/2)
B類型:申請額、150万円以上~450万円以下(補助率1/2)
【デジタル化基盤導入枠】
デジタル化基盤導入類型:申請額、~50万円以下 (補助率3/4)、50万円超~350万円 (補助率2/3)、PC等~10万円 (補助率1/2)、レジ等~20万円 (補助率1/2)
複数社連携IT導入類型: (1) 基盤導入経費(基本申請額はデジタル化導入類型と同じ。 補助率1/2~3/4)、(2) 消費動向等分析経費(補助率2/3)、(3)事務費・専門家費(補助率2/3)、補助上限額 (1) + (2)→3,000万円 (3) → ((1) + (2)) ×10%
A類型とB類型とでは補助額にだいぶ開きがあります。これは、A類型のほうがB類型よりも要件がゆるいためです。
つまり、導入するソフトウェアについて、「ソフトウェア (業務プロセス)の中の、①顧客対応・販売支援②決済・債権債務・資金回収管理③調達・供給・在庫・物流 ④業種固有プロセス⑤会計・財務・資産・経営 ⑥総務・人事・給与・労務・教育訓練」のうち、「A類型は1つ満たせばOK」という
要件なのに対し、「B類型は4つ満たしていないとダメ」という厳しい要件となっているからです。
また、B類型では従業員の賃金をアップさせることが要件となっています (A類型では賃上げは不要(加点項目)です)。このようにB類型の要件は厳しめだからこそ、 補助額も大きくなります。
そして、デジタル化基盤導入類型は中小・小規模事業者に、インボイス制度(適格請求書保存方式)も見据えたデジタル化を推進したいという目的のもとで創設された類型です。 会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト導入費用に加えて、パソコンやタブレット、 レジ・券売機等のハード面の導入費用まで支援してくれる過去にはなかった手厚い類型になっています。
インボイス制度へよりスムーズに移行させたい国の意向がうかがえる類型になっています。 パソコンなどのハード面の購入費用まで支援してくれるため、注目をされています。
複数社連携IT導入類型もインボイス制度へのスムーズな移行を複数の中小・小規模事業者が連携して進めるにあたって使える類型です。具体的には商店街や商工会といった商工団体等を想定して設けられた類型です。
こういった類型は年によって変わってしまいますが、「導入するソフトウェアにどのくらい要件が求められるのか」「賃上げ要件は必須なのか」「特別枠はあるのか」といった観点で、最新の公募要領をチェックするのが大事です。