事業再構築補助金とは
事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、企業の思い切った事業再構築を支援するための補助金です。
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す、次の要件をすべて満たす企業・団体が対象となります。
2021年に登場した補助金で、登場した当初から非常に注目をされていました。1年限りとも言われていた事業再構築補助金ですが、2022年も依然として新型コロナウイルス感染症の影響が続くため、事業再構築の必要性が高いことを受けて継続されることとなりました。
ただし、要件などは2021年とは変更された箇所もあり、活用する際には注意が必要です。
(1) 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、 コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して100%以上減少している中小企業等。
(2) 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等
(3) 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加又は従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加の達成
中小企業だけでなく中堅企業も対象
通常の補助金は、中小企業のみが対象となり、一定の従業員数か資本金額を下回る企業のみが対象となります。
もっとも、事業再構築補助金に関しては、中堅企業に関しても対象となります (中堅企業の定義に関しては最新の公募要領をご確認ください)。
事業再構築補助金の補助額・補助率
(中小企業)
・通常枠 補助額100万円~8000万円、補助率2/3
・最低賃金枠補助額100万円~1500万円、補助3/4
・回復・再生応援枠 補助額100万円~1500万円、補助率3/4
・大規模賃金引上枠 補助額100万円~1億円、補助率2/3
・グリーン成長枠 補助額100万円~1億円、補助率1/2
(中堅企業)
・通常枠 補助額100万円~8000万円、補助率1/2
・最低賃金枠補助額100万円~1500万円、補助2/3
・回復・再生応援枠 補助額100万円~1500万円、補助率2/3
・大規模賃金引上枠 補助額100万円~1億円、補助率1/2
・グリーン成長枠 補助額100万円~1.5億円、補助率1/3
回復・再生応援枠新設
「回復・再生応援枠」は、2021年に事業再構築補助金が登場した際に設けられていた「緊急事態宣言特別枠」に代わる新設枠として登場し、取り組むためのハードルを下げて取り組みやすくしたものとなっています。
具体的には、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象とした申請類型です。
(補助対象者)
通常枠の申請要件に加え、①又は②のどちらかを満たすこと
①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%
以上減少していること
②再生支援協議会スキーム等により再生計画を策定していること
(補助率)
・中小企業3/4、中堅企業2/3
グリーン成長枠も新設
「グリーン成長枠」は、グリーン分野で事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者に、補助上限を最大1・5億円まで引き上げた新たな申請枠です。売上高100%減少要件が不要な類型でもあります。
事業再構築補助金の補助対象経費
事業再構築補助金では、次のような経費が補助対象経費となっています。
建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等) ※補助対象企業自身の従業員の人件費や良否は対象外となります
事業再構築補助金の取組みイメージ
こちらでは中小企業庁が発表している事業再構築補助金の取組みイメージをご案内します。
喫茶店 | 飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施 |
居酒屋 | オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応 |
レストラン | 店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施 |
弁当屋 | 新規に高齢者向けの食事宅配事業を開始。地域の高齢化のニーズに対応 |
衣服販売 | 衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態転換 |
ガソリン販売 | 新規にフィットネスジムを運営し、地域の健康増進ニーズに対応 |
ヨガ教室 | 室内の密を回避するため、オンライン形式での教室を運営 |
高齢者向けデイサービス 半導体製造装置部品製造 | 一部事業を譲渡。 病院向けの給食、事務等の受託サービスを開始 半導体製造装置技術を応用し、洋上風力設備の部品製造を開始 |
タクシー事業 | 新たに一般貨物自動車運送業許可を取得し、食料等の宅配サービスを開始 |
航空機部品製造 | ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げ |
伝統工芸品製造 | 百貨店などでの売上が激減したためECサイトでの販売を開始 |
和菓子製造・販売 | 和菓子の製造過程で生成される成分を活用し、化粧品の製造・販売を開始 |
土木造成・造園 | 自社所有の土地を活用してオートキャンプ場を整備し、観光事業に参入 |
画像処理サービス | 映像編集向けの画像処理技術を活用し、医療向けの診断サービスを開始 |
この取組みイメージはあくまでもほんの一例です。 会社の事業計画をしっかりとつくることで、思い切った事業転換を目指すビジネスモデルが採択のために重要となってきます。
日頃から会社のビジョンやミッションなど会社のこれからの取組みについて考える時間が大切です。